出産編5~払暁の誕生

奥さん

夜9時15分には生まれる見立てが、1時間過ぎ、2時間が過ぎ、ついに日をまたぐことになりました。

赤ちゃんが出てきた!

ここで出産時のフォーメーションを解説。

ベッド兼分娩台に横たわる奥さんを励したり、水を飲ませたり、嘔吐物の処理をしたりするのが僕の役目。

すると、奥さんの足越しに赤白い姿が見えて、一拍置いてか細い泣き声が聞こえる。

ジュニア
ジュニア

ふぎゃ、ふぎゃ、ふー!

奥さん
奥さん

…………(ニコッ)

後産

奥さんはぐったり、でも口元にかすかな笑みを浮かべて微笑んだ。
厳しく張り詰めた空気が一瞬でほどける。
「おめでとうございます」「おめでとうございます」「おめでとうございます!」
ありがとうございます!

助産師さんがへその緒を切ると、血がぷしゅっと飛び散って、分娩中ずっと枕元にあったお守りタオルに付いた。このタオルは勲章だ。
皆さん、テキパキと産後の処置をしてくれる。赤ちゃんの体を拭いて、へその緒のくるんで、体温と体重を測って、羊水を吸い取って。手足の指の数も確認するんだね。

男の子、1時23分生まれ。それが我が家の長男。
肌着とロンパースを着せてもらってタオルにくるまれると、もう人間っぽく見える。いや人間だ。生まれたての、小さな人間だ。

奥さんが抱っこして、最初のおっぱいを吸わせてあげる。小さな声で「可愛い」と。さっきよりも笑顔。

ドクターが胎盤の処理や切開創の縫い合わせ。その間助産師さんたちは、余韻に浸ることもなくテキパキと片付け。

赤ちゃんはスゴイ! 奥さんは偉い!!

産後45分くらいで諸々の処置が終わり、LDRは家族だけの空間になった。昨日と違うのは、僕と奥さんにだけじゃなく、コットで眠る赤ちゃんが居ること。我が家はもう、3人家族になったんだ。

今日分かったこと。
赤ちゃんって、こんなに凄かったんだ。
うちの奥さん、こんなに根性がある人だったんだ。
陣痛が始まってから分娩が終わるまで、丸一日以上。
その間、赤ちゃんはNSTを介してずっと、「ボクは元気だよー!」という心拍を伝えてくれた。
奥さんはずっと、陣痛に耐えていた。

体は疲労の極致なのに、興奮していて眠れない。コンビニで奥さんにミネラルウォーターとプリンを買ってきた。何と奥さん、プリンをペロリと完食してしまった!

午前2時半。奥さんはベッドで、僕はソファで眠りにつく。長い長い一日が終わる。

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