育休男子とは対極、だけど心惹かれる父から息子への手紙

日記

『息子たちよ』北上次郎

  • 著者 北上次郎
  • 出版社 早川書房
  • 定価 \1870

読みたくなったきっかけ

著者の北上次郎さんは、僕の知る限り最も信頼できる書評家です。ジャンルを問わず、と言うよりも安易なジャンル分けを拒むかのように様々な書籍を人々に紹介しています。

奥さん
奥さん

この人、ハードボイルド小説書いてる白髪ヒゲのおじさんだよね!?

育休マン
育休マン

それは北方謙三!!

北上さんは主に雑誌や新聞の書評欄で活躍していますが、その文章生産量が尋常じゃない。あの新聞この雑誌どこを見ても寄稿しており、さらには文庫本の解説も沢山手掛けています。

書評集的な単著も出版されていて、まだ見ぬ本が散りばめられた森へのガイドとして楽しんでいます。

この本『息子たちよ』は、そんな北上さんには珍しい書評以外の内容ということで興味を持ち手にとった次第です。


息子たちよ


息子たちよ [ 北上 次郎 ]

本の構成

この本は、著者お得意の書評要素もありますが主眼はそこではなく、著者の息子たちとの思い出や気持ちを綴ったオムニバスエッセイとなっています。語りかけるような筆致で、いわば息子たちへの手紙のようにも読めます。

僕はこの本を読んでいて連想したのは名著「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」です。形式こそ違いますが、父が息子に対して、直接ではなく言葉を通じて生きる力を与えようとすることが共通すると感じました。


ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫


ビジネスマンの父より息子への30通の手紙改版 (新潮文庫) [ G.キングズリ・ウォード ]

どんな内容?

「育休男子」とは正反対の父親

しかし著者は、育児休業を取るなど欠片ほども思わないようなワーカホリックぶりを見せます。(Wikipediaの経歴を見ると分かる通りフリーの立場が長かったので、働いて稼ぎ続ける必要があったのかも知れませんが)

著者は基本的に平日は職場に泊まり込みで働き、子供に会うのは週末だけ、という生活を続けていたそうです。
その間の育児については詳しく書かれてはいませんが、奥さんの負担が大だったであろうことは想像に難くないところです。

息子たちへの思いは伝わる

これだけ見るととんでもない父親なのですが…
著者が『ズルい』のは、紹介する本の中身と、息子たちの思い出を分かちがたく絡めて一体にすることろ。何だかいい話を読んだなー、という気分にさせられます。
著者にとってこのエッセイは、言うなれば、息子たちへの手紙であると同時に、世に問う作品の一つなのでしょう。そう考えると読後感は良好です。

読んでモヤモヤして欲しい

ただ、子供と共に時間を過ごすことに価値を置く育休男子は、その良好な読後感(父子の絆さえ感じさせる)と、実際の著者の行動のギャップにモヤモヤすることかと思います。ましてや育児の負担を担う母親においておや。

僕としては、ぜひ著者の家族からのアンサーブックを読んでみたいところです。

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